カワイイ俺のカワイイ本当

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*** 店の前まで辿り着いたと同時に、俺達はどちらからともなく視線を合わせて、そっと指を解いた。 まだ誰かの前で堂々と繋いでられる程、甘さに溺れた訳ではない。 けれども失ったもう一つの体温に心寂しさを感じて、熱が少しでも長く残るようにと、俺はこっそりと掌を握り込めた。 先導するカイさんに続いて、開かれた扉の先に踏み入れる。 途端に響いたのんびりとした声が、微かな緊張を和らげた。 「あー、もう戻って来ちゃったんですねー」 「……やっぱりお前達か」 カウンターに両肘をついて寛いでいるのは、思った通り、私服の時成だ。 その隣に立っていた俊哉が、泣きそうな顔で笑みをつくる。 「おかえり。良かったね、悠真」 「……ああ」 心底安心したという響き。照れに視線を逸らす俺にも、俊哉は嬉しげに微笑みを深める。 ちょん、と。袖を引っ張られた感覚に斜め後ろを見上げると、戸惑い顔のカイさん。 拓さんが頻繁に出入りしていたからすっかり忘れていたが、そういえば、カイさんは二人と初対面だった。
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