カワイイ俺のカワイイ再挑戦

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ポカンと呆ける俺にメニューを広げながら、カイさんは小さくに吹き出して。 「さっきの店員、知り合いなんだ。だからちょっとした"ワガママ"なら融通が利くんだよ」 「っ、そう、なんですか」 ドキリと。 心臓が強く跳ねたのは、示す関係がまさに俺の"目的"そのものだったから。 「今日はパフェだっけ?」 「、はい、いちごのパフェがこの間から気になってて……」 「いちご、好きなの?」 「え?」 「ワッフルもいちごだった。あ、飲み物は?」 ふわりと目元を緩め、通りすがった店員さんを呼び止めると注文を告げていく。 「紅茶のホットで。カイさんは?」 「そんな、いいのに」 「ダメです。パフェ、手伝ってくれないと困ります」 「水でいけるよ?」 「どうせなら美味しく食べてください」 押し問答に譲る気はないと腕を組めば、注文を書き留めていた店員さんが「ありゃ、」と口角を上げて。 「こりゃカイの負けだね。はい、ご注文は?」 「……コーヒーの、ホットで」 「かしこまりましたっ! 少々お待ちくださいね」 ポンっ、と軽くカイさんの肩を叩くと、俺に笑顔を向けて厨房へと去って行く。 明るい人だ。カラリとした笑顔がとても清々しい。 「仲、いいんですね」 「……なんだかんだで付き合いが長いからね」 気を落ち着けようとしたのか、コクリと水を含んだカイさんは薄く息を吐き出す。 それから机上に肘をついて、指先にゆるりと顎を添えて。 「それで?」 「へ?」 「いちご、好きなの?」 すっかり切り替えたのか、お得意の柔らかな笑みを向けて尋ねられたのは先程の問い。 ただの言葉遊び程度に捉えていたが、どうやらキチンとした話題の提供だったらしい。
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