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休日のシフトはロングで入る事が常だ。
土日しか来れないんだと嘆きながら通ってくれる常連さん達にも会いたいし、興味本位でやってくる一見さんには是非気に入って貰いたい。
"人"をいかに集めるかを問われる商売では特に、新規のお客様を絶えず確保していかなければ。
つまり自惚れではなく事実として、一番人気である"ユウ"が居なければこの店にとっても困るのだ。
ピークが過ぎてからの昼休憩に先日店長と相談して改良したパンケーキを胃袋に収めつつ、スマートフォンで"Good Knight"のページを開く。
因みに、カイさんのシフトは現在予約可能な二週後まで全滅だ。
日が経てば経つほど口コミから人気に拍車がかかる。
常連と新規で戦争状態の予約争奪戦に、俺は絶賛全敗中だ。
今なら由実ちゃんが僅かな可能性を探って泣きついてくる理由がわかる。
そして俺も正しく、全く同じ状況だ。
(こればっかりは、どうしようもないもんな……)
個人的な"オトモダチ"とはまだまだ程遠い現状で、カイさんに繋がる唯一はこのネットワーク上の予約システムだけだ。
まぁ、そもそも目的を達成すれば、こうしてカイさんに会いに行く必要性もなくなるのだが。
「……」
微かな靄。これはきっと、あの優しい笑顔を騙している罪悪感だろう。
(そうに違いない)
深く考えない方がいい。
本能の発する警告に従うまま思考を切って、流れ作業のようにカイさんのシフトページを開く。
「っ、マジか」
捉えた"空き"の文字。
考えるよりも早く画面を叩き、興奮にドクドクと大きく跳ねる心臓に急かされるまま個人IDとパスワードを入力する。
最初からログインしておくんだった。
同じように見つけた誰かに奪われてしまうんじゃないかと後悔に冷や汗を感じながら、表示された"確定"のボタンを素早くタップする。
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