カワイイ俺のカワイイ不安

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「レナさん、ネイル変えられたんですね」 「あら、気づいた? ココに来る前に変えてきたの」 「分かりますよ。いつも綺麗にされてますもん。今回は赤のデザインと、白ベースにドットのミックスなんですね……水玉って珍しくないですか?」 「本当によく見てるのね。初挑戦なの。いつもは花柄に惹かれるんだけど、今回は少し可愛いくしたい気分で」 記憶にあるこれまでのレナさんのネイルは大人な花柄が常だった。 嬉しそうに両手を揃えて重ねて見せてくれるレナさんが少しだけ恥ずかしそうに「らしくないでしょ」と苦笑するので、俺は「いいえ」と首を振る。 「新鮮ですけど、可愛いですよ。爪も、レナさんも」 「……ホント、口が上手いわね。アナタは」 「褒め言葉として受け取っておきます」 ニコリと純粋な笑顔で返して、「少々お待ち下さい」とキッチンへ向かう。 このストレートな"褒め殺し"はカイさんから学んだものだ。 遠回しな物言いもウケはいいが、こちらの反応も上々である。 上手く使えばそれこそ新たな客層の獲得に一役買いそうだ。 満足にホクホクと高揚しながらキッチンのキャストへオーダーを告げていると、トレーに空の器を載せて戻ってきた時成が不思議そうに首を傾げる。 「なんかご機嫌ですねー」 「ああ、早速カイさんに近づいたメリットが証明されてな」 「それは良かったですー」 「あ、あとさっきキャンセル分が取れたんだよ」 「おお、やったじゃないですかー。いつですかー?」 「コレ上がって、三十分後」 「じゃあサクッと帰らないとですねー」 上がり時間を迎えた後も、混雑状況を見て残ることもしばしばだ。 今日はそうはいかないと頷きながら理解した時成が、フフッと嬉しそうに笑う。
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