カワイイ俺のカワイイ不安

14/21
前へ
/238ページ
次へ
「いいじゃないのミルクの一つや二つ! みみっちいコト言わない!」 「それを言うなら、いるかいらないかなんだけど……」 「そうそうユウちゃん、こっそりソース多めにしといたから、他のお客さんには内緒ね」 「あ、スミマセン、ありがとうございます」 「だから、聞いて」 「聞いてる聞いてる! じゃあごゆっくり~」 ここまで振り回されるカイさんも新鮮だ。 次のオーダーの呼び止めに向かってしまった吉野さんに、カイさんは溜息をついてミルクを手に取る。 お、と。 思ったのだがそのまま沈黙を保って見守っていれば、ハッと気がついたようにそのままカイさんが制止する。 本当にミルク派なのだろう。 無意識で注ごうとした自身を恥じるように、一気に顔が赤くなる。 なんだそれ、めちゃくちゃレア。 「っ、ユウちゃん、あの、」 どう言い訳したら良いのかわからない。 プチパニック状態なのか、真っ赤なまま焦り顔で必死に言葉を探すカイさん。 なんというか、コレは非常に。 (……かわいいな) 「どうぞ、僕のコトは気にせずドバッといってください」 「いや、でも、さっき」 「良いです良いです。あ、でも砂糖の投入権は譲りませんよ?」 「っ、なんかホント……ゴメンね」 羞恥をありありと浮かべる顔を隠すように俯きながら、肩を縮こまらせてカイさんがミルクピッチャーを傾ける。 もはや吹っ切れたのか、半分程をたっぷり注ぐと真っ黒なコーヒーがキャラメル色に変わっていく。 その間に切り分けてたワッフルを目の前に置いて(カラトリーの手渡しは譲ってくれなかったので、切り分けた方をカイさんに渡した)、カイさんの要望通り二つの角砂糖をコーヒーへ落とす。 これだけ甘くするのなら、さぞかしブラックは辛かっただろう。 よく平気な顔して飲んでたものだ。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加