カワイイ俺のカワイイ不安

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「じゃあ、失礼します」 「変質者に気をつけて。日も暮れてきてるしね」 待ち伏せしてた拓さんもギリギリラインだな、という皮肉はキチンと飲み込んで、頭を下げて背を向ける。 「あ、そうそう」と届いた声に振り返ると、半分以上が朱色に染まりつつある空を背景に、何処か寂しそうな笑み。 「……今日オレと会ったことも、カイには内緒にしておいてね」 「……はい」 元よりカイさんに告げる気はない。頷いたオレに安心したような顔をする拓さんに会釈をし、今度こそ歩き出す。 こうしてオレと会った事を知られるとカイさんと一悶着あるから面倒、という意味なのだろうか。 いや、あの意味ありげな表情はそういう意図ではなさそうだ。 (……とにかく、火曜か。上手くやるしなないな) あと予約もだ、と重い息を吐き出して、何となく後方を振り返る。 そこには既に人の姿はなく、ただ茜色の空だけが先を覆っていた。
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