カワイイ俺のカワイイ接客

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カラカラと笑う拓さんの言葉に、眉を寄せるカイさんの顔が浮かぶ。確かに、客のイメージを最優先するカイさんなら、即座に指摘するだろう。 壁側を背にしてソファーの収まりのいい位置に落ち着いた拓さんは、俺の渡したメニュー表を受け取りながらしげしげと視線を上下する。 「へー、ここのメイド服って薄緑なんだ。ピンクじゃないの?」 「一応性別上、ピンクよりは抵抗が少ないんじゃないかって案みたいですよ」 「ふーん、ユウちゃんなら絶対ピンクも似合うと思うんだけどなー……。でもいいね。ユウちゃんが可愛いのはいつものコトだけど、やっぱメイド服ってこう、特別というか、主人感がたまらないというかさ」 「……」 先程からちょくちょく発言がおじさん臭いのは、仕事ではなくプライベートとして素の拓さんに近い証拠なんだろうか。 呆れ顔で「拓さん」と名を呼ぶと、「ゴメンゴメン」とメニュー表を開く。 「どうしよ、お腹すいたからなぁー……」 「お昼まだなんですか?」 「うん、"お仕事"帰りでさー。あ、カイは今日お休みだから」 「……知ってます」 バレる事を良しとしなかった俺に、心配ないと告げたかったのだろう。 予約の件もあるし、今日のカイさんのシフトは事前に把握済みだと意図した俺に、拓さんは「さっすがぁー」と口角を上げる。 「ん!? このオムライスってもしかしてハートとか描いてくれるヤツ!?」 「そうですね。一応、簡単なモノならハート以外も描けますよ」 「いや、ハートがいい! オムライスプレートで!」
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