カワイイ俺のカワイイ接客

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「あの、角のお客さん! 随分派手だけどユウちゃんの彼氏かい?」 やっぱり目につくよな。 興味津々といった様子に苦笑して、「違いますよ」と首を振る。 「確かに僕の知り合いですけど、思われているような関係じゃないですよ。それと、あの方は女性です」 「え!? そうなの!? いやー、全然わからなかった……」 「"そちら"では有名な方なんで、気に入ってもらえればウチの宣伝にならないかなーと思ってるんですけど」 「ハハッ、さっすがユウちゃん。したたかだね」 「お屋敷の発展もメイドの務めですから」 注文用紙を片手で抱え、もう片方の手でスカートを摘み上げ、お伽話のお姫様のように膝を曲げて軽く頭を下げる。 どうやらお気に召したらしい。 ポカンとした顔で呆けるお客様に「では、少々お待ち下さいね」と笑顔を残し、パントリーへ。 先程のコウくんのように踏み入った会話にならない限り、俺の恋愛対象が"女性オンリー"だという事は出来るだけボカしている。 妄想の余地は、残しておいたほうがいい。 オーダーを告げ、再びホールに踏み出そうとした所で丁度会計に向かう人影が見え、レジへと向かう。 「あっ、ユウさん!」 俺の顔を見てビクリと肩を跳ねさせたのは、真っ赤な顔のコウくんだ。 先程は座った状態だったため気が付かなかったが、身長は俺よりも高く自然と見上げるような形になってしまう。 あいらは俺の少し上だが、さらに五センチ程上といった感じだろうか。 受け取った伝票をレジに打ち込みながら「ご満足頂けましたか?」と問いかけると、「は、ハイッ! スゴく! 楽しかったです!」と背筋を勢い良く伸ばすもんだから、長めにとったナイロン製のリュックの紐が片方肩からずり落ちて「あわわっ」と慌ててかけ直している。
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