カワイイ俺のカワイイ初対面

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(やっと、崩れた) 「じゃあ、貰ってやってください。"僕の為"に」 強調した言葉に、ピクリとカイさんが反応する。 俺だって計算派だ。丸め込む技術だって、それなりに持っている。 「一人で食べるより、二人で食べたほうが美味しいでしょ?」 はい、と柄を向けて差し出したのは先ほど取り分けたシルバー。 本当なら新しいモノを渡したい所だが、生憎この席には二人分しか用意されていない。 いまいちカッコつかないな、と苦笑した俺の眼前。 戸惑いがちに伸ばされた細い指先が、シルバーを掴んで離れていく。 「そこまで言われちゃ、仕方ないね。ありがとうユウちゃん」 軍配、俺の根気勝ち。 折れてくれたカイさんは小皿のワッフルを一口大に切り、形の良い唇を薄く開きハクリと食む。 本当に、好きなのだろう。 味わうように伏し目がちにほころんだ顔は、今までのどれよりも柔らかで。 「……ん、美味しい」 たぶん、コレは。 "カイ"さんではなく、"ホントウ"の。 「っ!」 (ヤバイ、) 認識した瞬間に駆け上がってくる熱。 色づいた頬がバレないように慌てて顔を伏せ、乱雑に切り取ったワッフルを口へ放り込む。 (なんで俺、こんなに動揺してんだ!?) 自分でも理由が掴めない動悸。 「おさまれ、おさまれ」と繰り返し念じながらコーヒーを流し込む。 一気に広がったほろ苦さに、細く息を吐き出して。 徐々に通常へと戻っていく鼓動に安堵して顔を上げると、こちらを見つめる双眼とバッチリと目が合う。 「っ、」 (い、いつから見られてたんだ!?) 「……ユウちゃんってさ」 マジマジとした視線に、ピタリと止まる身体。 (ば、れたか!?)

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