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「お前は、俺が恐くはないのか?」
魔王は目の前の少女に剣を振り上げたまま、少女に問いかけた
「恐い」って?
少女は「恐い」という感情がないのか...
魔王の中の憎しみ、怒りの感情が今、目の前にいる
少女のように全て消え失せたなら
どんなにもこの苦しみから逃れられるか
魔王はふとそんなことを思いめぐらせた
胸が熱くなった、鼓動を感じた
魔王は振り上げた剣を草の上に置いた
剣の横に咲いていた花を見つめた
少女が魔王にこれは何?と訪ねた
魔王は少女に「花だよ」と優しく応えた
記憶喪失の少女の心に触れ
魔王は自分が魔王の心をもつ前の記憶を蘇らせていた
俺の前に現れた記憶喪失の少女は、
記憶を失い、いつしか魔王になっていた俺の記憶をといていた
剣の横で一輪の花が微かな風に揺れていた
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