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車が止まりあっけにとられていた。ぶつかったはずだった……車から降りて前や下を確認する。しかしどこにもいない。ホッとするとともになぜかわからないまま運転席を見ると……
「そ、そんなまさか……」
自分の顔がちょうど車のフロントガラスに映って乗っているように見える。その姿を見たことがある。それは、自分が”ひかれる瞬間”だった。記憶がすべて戻ってきて頭が痛くなる。小さいころから高校に入学した後……そしてあの日である今日、塾の合宿のために集合時間に間に合うように急いでいた。その時にひかれたのだった。
そして15年前に飛んだのだ。
重い足取りながらも配達を終え、帰宅する。明は様子がおかしいことに気が付き心配そうに見ている。
「いつもより遅かったけど……何があったの?」
「実は……」
明に先ほどの轢きかけたことから自分の記憶が戻ったこと、そして先ほどまでこの時代にいたのが昔に飛ばされた理解できないことを話した。
「まったまったー冗談でしょ?ってそんなわけないか。顔を見たらわかるもん……」
沈黙が起きる。
「で、どうするのさこれから。」
「どうするって?」
「話すの?本当の家族に……」
「もう少し考えさせてくれ……」
明は分かったと言ってくれたあと自分から話すとき以外は話題にしなかった。
そして数日がたった後決心を決めた。すべてを話しに行くとそして明を紹介することを。
「ちょっと恥ずかしいな……これでいいかな?」
明はいつもより気合を……いれすぎておかしくなっている。それを指摘すると。
「だってしょうがないじゃない緊張するんだもの。」
そういいながら直していた。そのとき電話がかかってきた。
捜索願で私の情報が一致したので来てほしいとのことだった。
それに対し、本人だということを伝え、家族を呼んでもらうことにした。
「なんだったの?そう、では行きますか準備はいい?」
化粧を直し終わった明の手を握り、家族の元へと私は向かった。
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