第1章

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 早速仕事を教えてもらう。最初は戸惑ったがすぐ覚え、二日で完璧に配達できるようになった。  そしてだんだんと配達の速度が上がり、早く帰ってくるようになり、家族とも打ち解けてきた。  そんなある日。  いつものように配達を終わらせて帰ってくると、明が頭を抱えている。 「どうしたの明。」 「いやー宿題やるの忘れていて溶けなくて悩んでいるんだよ?」  見ると、かなり真っ白な問題が残っている。その問題を見ると……解ける。 「これはこうやって、こうすれば正解が出てくるよ?」 「お?すごーい!実、じゃあこれは?」 「これは……」  どんどん解けていける。明に教えながら自分はなぜ解るのかが分からなかった。 「終わったー!なんかさ実頭いいようだね。私が取れた二輪の免許もすぐとれるんじゃない?」 「うん、そうかも私はどこまでわかるんだろう?」  明は少し馬鹿にされたことを理解して不機嫌になったが、自分のことを少しわかるのかもしれないと思い、給料で高校の問題集を買ってきて解いてみた。するとほぼ全部解けてしまった。  そのことを食事のときに家族に話すと、年齢を18で申請し、大学に通ったほうがいいと大検とついでに免許の取得を進められた。大学に行ったら学費で迷惑がかかると拒否しようとしたら。奨学金とバイトを勧められた。馬鹿な明の家庭教師というバイトを。  それからは仕事をしながら受験勉強を始めつつ明の勉強を見続けた。段々と明との距離は近くなっていき付き合い始めた。家族は喜んでくれたが、明を大学に行かせ卒業させたいとのことで、ますます勉強に熱が入った。  そして無事に自分が卒業した後に明も卒業出来て晴れて夫婦になった。  数年がたち、子供にも恵まれたある日、いつものように仕事に出ようとしていた朝に明が来た。 「実、今日で出会ってから15年になるね。」 「そうだね、色んなことがあったなぁ。」 「今日は誕生会だから気をつけて帰ってきてね」 「ああ、じゃあいってくるよ。」  私は車を運転して配達に向かう。 「さて私も行くか……なんだか胸騒ぎがする……」  早朝の暗い中いつものように配達をする。 「何も問題なく次の分もいけるなこりゃ。」  楽に思っているとなぜか汗が出てくる。何かを感じているような……その時!  目の前に人が飛び出してきた!急ブレーキを踏むが間に合わないことが分かる。ぶつかる瞬間に目が合った。
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