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「本市君は高所恐怖症なんだ」
どうして本市はここに同行したんだろう。荒木はワイヤーにしがみついてカチコチに固まった本市を見ながらそう思ったが、答えは自分と同じ事件に巻き込まれてしまっていたのだ。
「肉体労働ならかずかずだけでいけば良かったんよ」
「今頭脳労働が必要になったのよ」
かずかずの前には爆弾が待ち受けていて既に苦渋の選択を彼女達に迫っている。正しいコードを切ればエレベーターの乗客は無事だが、誤ったコードを切断すると――
あぶない(かず)2―了―
となってしまう。
「そう言えば女性の勘って鋭いよね」
本市は高所恐怖に耐えながらアイデアを捻り出そうとする。
「確かに浮気や不倫を見抜く程鋭いよ」
「ここは女性の勘を頼りにコードを切断してみてはどうかいね」
「でも…」感情を持たない時計仕掛けの爆弾にそれが通用するか判らない、かず子はそう思いながらも何とか女の勘を働かせようとする。
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