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【3】
爆弾の残り時間は10秒を切った。かず子と海街は重なるようにしてかず美ジェットの縁に立ち、かず子は爆弾を手に抱え、起爆のタイミングを見計らっている。
かず美ジェットはビルより遥かに高い上空まで上昇している。
「まさか、あんたと飛ぶことになるとはね」
残り9秒。かず子は爆弾のカウントダウンを確認しながら言った。
「スカイダイビングなんて初めてだから、怖いよ」
8秒前。
「大丈夫、私も初めて。巧くいかなくてもかず美さん達がなんとかしてくれる」
7秒前。
「かず子も? 余計不安だよおお!」
6秒前。
「あんたと初めての体験が一緒に出来たから、私は楽しかったよ。これからもたくさんするんでしょ? 初めての体験」
5秒前。かず子はかず美ジェットから下の都内を見下ろした「行くわよ」
かず美ジェットから勢いよく飛び出すと、更に上空に爆弾を投げた。かず子はそのまま両手と両足を広げて海街と落下していく。下からの風がかず子の体を押し上げて落下速度を緩める。
4秒。3秒。2秒。1......爆弾は上空で凄まじい爆音を立てて起爆した。赤い炎が巨大な円を描きながらドーム状に広がっていく。
かず子の脳裏に様々な思い出が頭を過る。色々ありすぎたけど、本当にこれで終わったんだ。
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