100人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
「そうよ。生きるってことはね、知らないことの方が多いのよ。だから、探りたいのよね。分かる。…だから、ジェイソン。今は、生きることを、願ってほしい」
「瑠生」
あたしの手は縛られたままだけど、ジェイソンの温もりは、嬉しかった。
間違いに気づいてくれた。それだけで、カウアイ島まで来た甲斐があった。
そう思った瞬間、銃声が響き、ボートの窓が激しい音を立てて、割れた。
「キャアッ!」
その音は心臓に悪い。バクバク言ってる。そして、あたしたちのボートに1人が乗り移ってきて、今度はライフルではなく小さな自動拳銃をその手に握りしめて、黒髪のサングラス男がやってきた。
「おまえがジェイソンだな。ちくしょう。へんな暗殺を計画しやがって。あいつがいたら、手を出せない。ヘタしたら、こっちの身が危うくなる」
独り言のように暗殺者が言うと、ジェイソンはあたしを抱きしめながらハラハラしている。
最初のコメントを投稿しよう!