2人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、スパイ0001号。
30歳。
不可能を可能にする敏腕スパイとして、その道では恐れられている男だ。
いかなる不利な状況でも、敵地から確実に脱出して生還する。
敵地の美女を連れだって戻ることもしばしばだ。もてちまうので、女が勝手についてくるのさ。
今回も、無理難題なミッションが俺に回ってきた。おかげで、なんとか敵国のアジト深く潜入したものの、捕まってしまった。
手元には隠しておいた愛銃、ワルサー1丁。
これで並みいる敵を倒しながら脱出するしかないようだ。殺しは好まないが、仕方ない。
囚われている部屋は、どうやら高い建物のようだ。窓はあるが開かない。何よりも、こんな不味い飯ばかり出てくるところはもう、うんざりさ。
早くバーでバーボンをやりたいぜ。
夜になるのを待って、俺は行動を起こした。
やつらのマヌケ具合は筋金入りだな。ドアに鍵が掛かっていない。
俺はドアをそっと開けて、通路を見た。巡回の兵士は今はいない。
巡回の兵士は屈強だ。よく訓練されており、さすがに見つかれば、俺とて脱出は容易ではない。
この収容所には何人もの人間が囚われていた。飯時には、彼らと話す機会があり、なかなかいいやつばかりだとわかっている。
特に、サチとか言う女が俺に惚れているのもわかっている。助けてやりたいが、今はダメだ。俺が脱出したら、装備を整えて、後からなんとかしてやるしかない。
俺は通路を用心深く進む。
最初のコメントを投稿しよう!