脱出者 スパイ0001

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 俺は、スパイ0001号。  30歳。  不可能を可能にする敏腕スパイとして、その道では恐れられている男だ。  いかなる不利な状況でも、敵地から確実に脱出して生還する。  敵地の美女を連れだって戻ることもしばしばだ。もてちまうので、女が勝手についてくるのさ。     今回も、無理難題なミッションが俺に回ってきた。おかげで、なんとか敵国のアジト深く潜入したものの、捕まってしまった。  手元には隠しておいた愛銃、ワルサー1丁。    これで並みいる敵を倒しながら脱出するしかないようだ。殺しは好まないが、仕方ない。  囚われている部屋は、どうやら高い建物のようだ。窓はあるが開かない。何よりも、こんな不味い飯ばかり出てくるところはもう、うんざりさ。  早くバーでバーボンをやりたいぜ。  夜になるのを待って、俺は行動を起こした。  やつらのマヌケ具合は筋金入りだな。ドアに鍵が掛かっていない。  俺はドアをそっと開けて、通路を見た。巡回の兵士は今はいない。  巡回の兵士は屈強だ。よく訓練されており、さすがに見つかれば、俺とて脱出は容易ではない。  この収容所には何人もの人間が囚われていた。飯時には、彼らと話す機会があり、なかなかいいやつばかりだとわかっている。  特に、サチとか言う女が俺に惚れているのもわかっている。助けてやりたいが、今はダメだ。俺が脱出したら、装備を整えて、後からなんとかしてやるしかない。  俺は通路を用心深く進む。
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