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タツオはディスプレイに浮かぶ副操縦士6人を無線で結んだ。続いて目の前に片メガネのように下がった透明なアクリル板に上官からの命令が浮かんだ。
「逆島少尉、第一戦闘訓練を命ずる」
タツオは叫んだ。
「うちのチームが初戦に指定された。全員ぼくのところに集まってくれ」
軍用の音声変換はかなりの精度に達している。そのまま正確な文字情報が、命令を示す赤いフラッグとともに6人に流された。
「おれたちが最初かよ。やってらんねえな」
ぶつぶついいながらやってきたのはクニだった。佐竹(さたけ)宗八(そうはち)の長身がゆったりと大型の肉食獣のように近づいてくる。
「鳥居(とりい)少尉、音声はすべて記録されているぞ。口を慎め」
「固いこというなよ。おれたちはどうせ『須佐乃男(すさのお)』作戦のための人身御供(ひとみごくう)だろ。進駐軍のお偉方だって、そう簡単に手出しはできないさ。あまりクソ真面目だと、うちのチームで浮くぞ。おっさん」
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