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タツオの周りに6人が集結する。
「本土防衛戦の敵兵力は120万人。今回の仮想敵はその1万分の1しかない。われわれにはまだ『須佐乃男』はないが、徹底的に敵を苦しめなければならない。これは日乃元(ひのもと)の街と市民を守るための戦いだ」
タツオは勝利ではなく、時間稼ぎの持久戦を選んだ。監督している作戦部や上級将校たちがうんざりするほど粘りにねばってやる。クニが叫んだ。
「その通り。ただで殺されてたまるか」
萬家の妹・駆化留(かける)とクニがハイタッチした。士気が上昇してきた。いい傾向だ。タツオは微笑(ほほえ)んでいう。
「とりあえずうちが初戦だ。まだ休憩時間中だが、戦闘準備を始めよう。全員が隠れる塹壕(ざんごう)を掘ってくれ」
「あーまたスコップか。進駐軍ってほんとによく穴掘りさせられるな」
各自自分の装備から伸縮式のスコップをとりだし、タツオが指定した場所に穴を掘り始めた。残り時間はあと9分。身体(からだ)の半分が隠れるほどの浅い塹壕でもなければ、120人の敵に囲まれ一斉掃射で蹴りがつく。時間稼ぎさえも困難だろう。
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