9(承前)

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 北不二演習場の軽い土を掘り、敵側に向かって小山をつくっていく。スコップで穴を掘るのは意外なほどの重労働だ。タツオは息を整えていった。 「つぎ、軽機関銃の扱いに慣れている者は?」  進駐官養成学校でひと通りの訓練は受けているが、軽機関銃は重さ4キロ弱の自動小銃とは別物だった。80式の分隊支援軽機関銃は持続的に1分間120発の発射が可能で、装填(そうてん)時の重量は10キロ近くある。ソウヤが手をあげた。 「おれだ。ウルルクでは80式に散々世話になった。補助をふたりつけてくれ。あいつは馬鹿みたいに弾を食うんだ」  タツオはクニとテルを見た。もうこの2人しか残っていない。テルが気づいたようだ。 「わかった。クニとおれでやるよ。ただし、メインはクニで、おれは空いた時間には自分の74式で指揮官のおまえを警護する」  ジャクヤが涼しい声でいった。 「ぼくはなんの役もやらへんの」
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