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「もう天童少尉はめんどくさいな。ジャクヤでいいか」
「了解や、ぼくもタツオでええな」
「うん。ジャクヤはこの訓練どう思う?」
「どうもこうも圧力鍋みたいなもんちゃうかな。ぎりぎりまで追いこんだとき、候補生たちがどんな反応を示すか。弱いやつ、壊れるやつはいないか。一種のパニックテストみたいなもんやと思うよ」
「なるほど。同意見だ」
近くで見ると、ジャクヤの目はジョージの目によく似ていた。ひどく孤独を感じさせるのだ。ジャクヤは銀を練りこんだ漆黒(しっこく)、ジョージはレモンを垂らした紅茶のような明るい茶色で、瞳の色はまったく似ていないけれど。ジャクヤはいった。
「今回の訓練の目標はみっつ。タツオならわかるやろ」
「ひとつは時間を稼ぐこと。もうひとつは敵への損害を最大限にすること。あとひとつはなんだろう、ちょっとわからない」
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