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食事は一時間とちょっとで終わった。
片付けは優実がするので、その代わりに陽介と散歩でもしてきて欲しいと頼まれた。こんな小さな子供を預かるのは嫌だなと思ったら、父親も付いてくる。ここは小さな子供にとっては危険な場所が多いので、心配になったのだろう。
陽介と手をつないでぶらぶら歩き始めると、父親は黙って後ろから付いてきた。
陽介は興奮しながら、ずっとしゃべっている。だが威勢がいいのは途中まで。すぐに燃料切れを起こし、親父が担ぐことになった。
そのまま一人で前に歩き出すと、彼は引き返さずにぐったりとした陽介を抱えたまま太一の後をついてきた。
案内板通りに歩き、開けた展望台の木のベンチで腰を下ろすと、親父もオヤジくさい声を出して隣に座った。
坂道や上りの階段もあったので、陽介を抱きかかえたままでは相当体に堪えたのだろう。額にはびっしょりと汗をかいていた。
陽介は腹が満たされ、疲れてぐっすりと眠りこけている。
昼寝をするにはいい陽気だ。日差しは厳しいが、海からの風が火照った体温を下げてくれる。
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