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沈黙が続いた。 もう下に戻りたかったが、ここで二人を置いていくのも気まずい。 父はもう少し休んでいきたいだろう。自分も陽介ぐらい小さかったら、ここで寝て困らせたのに。 「で、なんで今日、俺を呼んだの? 嫌がらせ?」 手持ちぶたさにスマートフォンを弄りながら、ようやく口から出た会話は、責める言葉だった。 でも今は、唯一残っていた家族の思い出までも、粉々に打ち砕かれた気分だった。 太一たちとの記憶を塗りつぶすかのように、彼は思い出を上書きしているのだ。 新しい家族と新しい思い出。 彼にはもう、過去などいらないのだから、それもいいだろう。 だが、そこで太一を呼ぶ意味が判らない。新しい家族に、太一は関係ないのだから。 「そうか。そう思ったのなら悪かった」 「奥さん自慢したかったとか? 子供も可愛くて良かったね。あんたに全然似てなくてほっとしたよ」 嫌な沈黙が続く。 そうじゃないことぐらい判る。 でもそう言いたくなる。責めたくなる。
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