2

5/9
前へ
/22ページ
次へ
母親と離婚後、太一は個人的に父親と連絡を取っていない。今日のことも母親から知らされたのである。 「瞳(ひとみ)から聞いたんだ。お前が大学の進学を諦めるといって聞かないと」 太一が目を見開く。 「あんたたち、まだそんなに連絡取り合ってんの?」 「最近はなかった。私が再婚の話しをしたとき以来だ」 「ふーん……別にどーでもいいけど、あんたもさ、いまさらこっちの家庭に口出すなよ」 激しい拒絶を口にする。この男が一番傷つくことを言ってやりたくなった。 「あんたはもう俺の親でもなんでもないんだから」 DNAがどうのとか関係ない。もうこの男とは親子でも家族でもないと言い切りたかった。 「お前が優しい子なのはわかってる。お母さんに学費のめんどうをかけたくないんだろう?」 「うるせーよ。勉強すんのが嫌いなんだよ」 「お前の内申なら、推薦も取れると先生も言ってるそうじゃないか」 「ほっといてくれ。早く自分で金を稼ぎたいだけだ」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加