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「わかっていただけましたか?」
「はい。なんか長年連れ添った二人の空気感というか距離感というか、そんなのを感じますから。わざわざすみませんでした」
「いえ。じゃあ、もうこいつにちょっかい出すのはやめて下さい」
ビシッと釘を刺すような言い方はまるで本物の彼氏のようだ。柴くんに頼んで正解だった。
「はい。本当にすみませんでした」
私たち二人に頭を下げると、中沢先生は校舎の中に消えて行った。
「これにて一件落着」
おどけた口調の柴くんに、ありがとうと言った。まだ生徒たちが見ているから頭は下げない。
「四月から東京だって? 身体に気をつけてな。困ったことがあったら、いつでも言えよ?」
「ありがとう。柴くんも元気でね」
なんだ。三次元にも『リソカレ』はいたんだな。私が気づいていなかっただけで。
ちょっと気づくのが遅すぎたけど。
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