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「昨日言ってた胡桃ちゃんの『未練』って俺のことでしょ?」
日向くんの澄んだ瞳でまっすぐ見つめられたら、もう嘘も誤魔化しもできないと悟った。
「うん。去年の卒業式の後、胸を貸してくれた時から、日向くんのこと意識するようになっちゃって。生徒のこと、そんな目で見ちゃダメだってわかってるのに。……日向くんがJ大に決まってから考えたの。私も東京に行きたいって。会えなくてもいいから、少しでも近くにいたいって」
グッと引き寄せられて、私の身体は日向くんに密着した。抱きしめられてる?
「ハァ。胡桃ちゃん、かわい過ぎ。俺を追いかけて来てくれるんだ? 嬉しいよ」
「離任式終わるまではこっちにいるし、一応、四月になるまでは日向くんとは生徒と先生だからお付き合いはできないよ?」
「なんで? 俺、もう卒業したのに」
「日向くんがJ大の学生になるのは四月からでしょ? どっちにしろ、今は二人とも新生活に向けていろいろ準備もあるし。ほら、今日だってもう帰らないと。おうちの人もごちそうを用意してるよ、きっと」
「俺には胡桃ちゃんが最高のごちそうに見える」
「な、何言ってるの?」
「キスしちゃダメ?」
「だ、ダメ!」
って言ったのに、日向くんは唇を重ねてきた。何度も何度も。
「押し倒しちゃダメ?」
「ダメったら! あ……」
「ああ、胡桃ちゃん、最高……」
モモよりも、アカ・アオ・クロ・シロよりも素敵な理想の彼氏が出来ました。
END
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