0人が本棚に入れています
本棚に追加
「パオくん、最後にナツキに、いい思いをさせてあげたら?」
マリエがそう言うと、パオくんはあたしの肩を掴み、制服をビリビリに引き裂いた。
「イヤー!」
あたしは必死で抵抗を試みたが、パオくんに押さえ付けられ、どうしようもない状態。マリエは、タバコをふかしながら、パオくんに汚されていくあたしを見下していた。
とその時──、
「待てーい!」
どこからともなく、声がしたかと思えば、凄い衝撃音とともに、あたしの視界から、パオくんの姿が消えた。
「ナツキ、大丈夫か?」
そうあたしに声を掛けたのは、シゲルだった。
そのままシゲルは、パオくんに馬乗りになり、殴り続けた。あたしは、何が起こったのかわからずボー然とし、マリエがパオくんを置き去りにして走っていくのが見えた。
ひとしきりパオくん殴り終えると、シゲルは振り返り、あたしを抱きしめた。シゲルの胸の中で、瀕死状態のパオくんが見えた。
「シゲル、ありがとう。あたしホテルに行きたい」
そしてあたしは、シゲルに抱かれた。
シゲルは、教師という立場にもかかわらず、生徒のパオくんに暴行を働いた。あたしを助けるために。
あたしは、そんなシゲルが好きになった。そしてそれは、シゲルも同じ気持ちだった。教師と生徒の禁断の恋。やっぱり、これもスイーツなのかしら。
その後、シゲルはあたしにプロポーズをし、あたしの卒業を待って、結婚してくれると言ってくれた。そう、あたしの王子様は、実はシゲルだったのだ。
しかし、幸せな日々も長続きはしなかった。予想だにしない事態が、あたしとシゲルに襲い掛かってしまったのだ。
突然、シゲルが不治の病で入院してしまった。病名は、メソポタミアドリアン病。なんでも、一千万人にひとりという割合で発症する病気で、かかったら最後、命はないらしい。
当然のように、あたしは入院しているシゲルに付き添う日々を送った。
病院のベッドに横たわるシゲル。あたしは、そんなシゲルを見つめ、こう言った。
「あたしを抱いて」
そして、あたしとシゲルは一夜をともにし、翌朝、シゲルは逝ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!