犬人間

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その行為はいつから始まったんだろう。 小学生?それとも幼稚園時代から? 人は何かを決める時、意見が多いほど多数決という行為に走る。 挙げられる選択肢の中に自分の意思がなくても、その中から選ばなければならない。 それが多数決の基本ルールであり、破られることのない絶対権力だ。 その絶対権力によって私は、 「南さんは人ですか?犬ですか?」 「「「犬でーす」」」 人間でなくなった。 これは子供のわるふざけ、単なる遊び。 いつかはみんな忘れて、また同じ様に輪の中に戻れる。 そう思っていた。 でも、私の犬生活は小学校を卒業するまで続いた。 首輪をつけられ、机や椅子の代わりに犬小屋が私の居場所。 トイレに行くには、誰かに連れて行ってもらわないといけない。 多数決、それは絶対ルールの下、みんなが守らなければならない。 そこに本人の意思があろうとなかろうと。 私は未だに犬のまま。
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