3人が本棚に入れています
本棚に追加
二軒、三軒とはしごして、友人と別れたのはすっかり深夜になってからだった。
ふらつく足で家へと向かう。
明日も仕事というのに、いくらなんでも飲み過ぎた。朝、きちんと起きられるだろうか。
そういえば今何時だ?
反射で腕時計に目を向ける。
おいおいもう午前一時かよ…と思ったところで時計が止まっていることに気がついた。
ポケットからスマホ穂引きずり出す。画面に目を向ける。
その瞬間、まばゆい光が全身を包んだ。
凄まじい衝撃が全身を襲う。
車にはねられたのだと、酔った意識でも理解できたが、体の方はどうにもならない。
起き上がれない俺を残して車が立ち去る。
轢き逃げされた。周りには誰もいない。俺を助けてくれる人はいない。
せめて自力で救急車を…そう思うのに、手から力が抜けてすく。握っていたスマホが滑り落ちる。
たまたま見えた時刻はAM1:00…止まったままの腕時計と同じ時刻だ。
その瞬間、唐突に悟った。
腕時計は、俺の臨終時間を差していたのだと。
…それきり俺の意識は途絶えた。
時計 TYPE A…完
最初のコメントを投稿しよう!