第1章

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「ねぇ、新人くん。君の趣味を当ててあげようか。」 つくってるんでしょ?ヒト。 ここはクトゥルナ製薬会社。主にドラゴンなどの大型魔獣に向けた薬を作っている。 職員の9割は魔法使い。まぁ、薬の仕上げは結局手作業ってわけ。機械作るより楽だもん。すごい人になると一分もせずに3日分くらい仕上げちゃう。 まぁ、それはいいんだけど。だって知ってるもんね?新人くん。 さて、君はどうしてここに入ったの?結構表向きブラックな怖ーい会社。ま、いろいろあるしね? そっか、答えないよね?普通。でも私知ってるよ~?だってこの前見たんだよね、君が薬のある材料を盗ったこと。 あらあら慌てなくていいのに。大丈夫、告げ口なんてしないわ。野暮だもん。 不思議?まぁ、もうちょっと聞いてくれる? ふふー、ちょっと探偵な気分だわ。 君が昨日盗ったあの材料、あれはここでしか手に入らない。だってここでしかかけられない魔法がかかっているから。 そして、あれはヒトをつくるのに必要なんだよね。核となるから。 君も知ってるでしょ?あの材料がどんな薬に使われるか。そう、精神薬。虹色に輝くあれは感情を豊かにしたり、落ち着かせたりして病んだ魔獣の心のカケラになってくれる薬となる。 それは、ヒトの心そのものとしても使える。 でも、忘れちゃいけない。君も魔法使いなら知ってるでしょ? ヒトをつくってはいけない これは魔法使いの禁忌。犯したものにはそれ相応の罰が下る。危険だし。ま、普通はつくることが出来ないんだけど。心自体を魔法ではつくれないから。 さぁ、君をどうしようか。 そんなに青ざめなくていいよ。取って食ったりしません。あ、君ヒトの肉食べたことある?思ってるより美味しくないし処理も.. まぁいいや。あ、そうそう。盗る時さ、ガードゆるいな、量多いな、とか思わなかった?怖くてそんなの気づかないよねー。 でも、そんな君に教えてあげる! 私の趣味は、ヒトをつくること。 そんな驚いた顔しないでよ。ないしょよ?だって禁忌だもんねー。ま、君もやってたんだし言えるわけないだろうけど。 そういえば、君は何人つくった? 5人か。私はね、ここの社員を作ったの。 ねぇ、新人くん。君にも薬のつくり方を教えなきゃね。 さぁ、行きましょうか。今の話は、ないしょ、よ?
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