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-俺の名前は、朝風吹雪。
今日からとある理由で帝王学園に入学する事になった。
「やっと学園にたどり着いた……」
俺は、そう呟きながら学園の敷居を跨いだ。
「大体あの女も、遠慮なしで呼び出し過ぎなんだよ……」
そう言ってると、前の方から一人のメイドが歩いて来て俺の前で立ち止まると俺に話し掛けてきた。
「初めまして。私の名前は夢島奏です。以後お見知りおきを。」
そのメイドは礼儀正しく頭を下げて自己紹介をしてきた。
恐らく歳は20代前半ぐらいで髪型は肩に触れるぐらいのショートカット、髪の色は少し赤毛がかった黒だった。
「学園長室まで案内致します」
そう言って歩き出そうとしたメイド…もとい夢島さんに夢島さんが言った事に疑問を感じ俺は質問をぶつけた。
「夢島さん、何で俺があの女の居る場所を探してるって分かった?」
「それは、吹雪様を含めて帝王学園に通っている男子生徒は5人しか居ないからですよ。他の男子生徒は面識がありますから。それから私の事は、奏とお呼び下さい。」
そう言って質問に答えてくれた
「理由は分かった。それでは学園長室まで案内を頼む」
「畏まりました。ではこちらに」
そう言って歩き出した奏さんについて行った。
******
それから学園長室に着くまでにこれと言って会話は無かった。
「ここが学園長室です」
「ありがとう奏さん」
「いえ、これも仕事ですから。それでは私はこれで失礼させて頂きます」
奏さんが去ったのを確認して俺は扉に向き直り、ノックをしないで扉を開けた。
「ノックも無しに入るなんて無礼にも程があるわよ朝風吹雪」
目の前の女は、そう言って明らかに不機嫌そうな顔を見せた。
こいつの名前は、帝王香(みかどおうか)。弱冠16歳にして、この学園の学園長を務めている。
何より王香の目を引くのはその髪色と服装だ。
闇よりも黒色の髪を腰まで艶やかに伸ばし、着ている服はこれまた闇より黒い色のゴシックドレスなのだから……
「お前に礼儀なんて言われたかねぇよ。それより、
この手紙に書いてある事は本当だろうな?」
俺はこの学園に編入する理由ともなった手紙を出して王香に質問をぶつけた。
「えぇ事実よ。だから私は貴方を呼んだのよ」
「そうか……やっと見つけた。」
「そういう事で。ようこそ帝王学園へ……朝風吹雪」
意地悪そうに笑って、俺の編入が決まった。
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