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扉を開けて入って来たのは上村さんだった。
「上村さん……よかった無事で……」
すると上村さんは泣き始めて近づいて来た。
「……良くなんてありません!また私のせいで貴方が死んでしまう所でした!もう、私のせいで誰かが死ぬのは嫌なんです!」
上村さんにしてはかなり珍しく、泣きながら大声で叫んできた。
俺はその様子を見て、ただただ子供をあやす様に頭をなで続ける事しか出来なかった。
******
「上村さん落ち着いた?」
上村さんが泣き止んだのを見て問いかけた。
「……すみません、いきなり泣いたりして……」
上村さんは恥ずかしさ故なのか俯いてしまった。
「それは構わないよ。それより上村さん……いくつか質問していい?」
「私に答えられる事でしたら……」
「一つ目は、上村さんが気配を感じるじゃなくて『視える』って言った事。二つ目は、また私のせいで誰かが死んでしまうところだったって言った事。一体どういう意味だ?」
「……一つ目に関しては貴方が薄々気付いてると思いますが、私の目は魔眼です……生まれた時からある物で効果としては、気配などを形で『視る』事が出来る物で分かりやすく言うとそこに気配などがあれば大なり小なりモヤみたいな形をしてるんです……」
(やっぱりな……)
俺はある程度の予想を立てていて、上村さんは魔眼を持ってると過程を立てていた。
魔眼とは人それぞれ効果があり必ずしも自分に得がある物ばかりじゃない。
「二つ目の質問は、……すみません……今はまだ話せる覚悟が出来てません。それより、私からも質問してもいいですか?」
「うん、いいよ」
「……では、貴方のあの魔獣を倒した剣術は何ですか?それにあの刀も……」
(やっぱり都合良く見てないなんてなかったか……)
「あの剣術は、俺の家系で使われている流派で外には一切出したらいけない事になってるんだ……刀については、悪いけど話せない……」
「分かりました……」
「それとお願いがあるんだけど……あの刀と技については他言無用にしてほしいんだ……」
「分かりました。その代わり私からもお願いがあります。貴方の事をその……ふ、吹雪さんと呼んでも良いでしょうか?」
「あぁ構わないよ」
「ありがとうございます……私の事も夜見と呼んで下さい」
「分かった……改めてよろしくな夜見」
「こちらこそ宜しくお願いします、吹雪さん」
こうして俺達の任務が幕を閉じた。
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