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俺が声した方を確認するとそこに立って居たのは、リン・シュヴァルツァーだった。
「それ以上続けると、生徒会執行部の選定の前に体が壊れるぞ」
「心配してくれてありがとう。やっぱり、リンは良い奴だな」
「私は心配した訳じゃなくて、お前にリベンジしたくて言っただけだっ!」
俺が礼を言ったらリンは、顔を真っ赤に染めて怒り始めた。
「大体お前は、あんなに強いのだからそこまで基礎を磨かなくても大丈夫だろ?」
「……このままの力じゃダメなんだ……まだあいつには届かない……」
「『あいつ』って誰の事だ?」
俺は小声で呟いたつもりだったが、どうやらリンに聞こえてたみたいで詳細を尋ねられた。
「いや、気にしないでくれ……俺は今から用事があるから帰るな」
俺はこれ以上この話題に触れられたくなかったので、嘘を言って逃げる様に帰った。
******
ついに生徒会執行部の選定当日になった。
俺は決められた会場に行き、時間が来るのを待った。
「吹雪さん、おはようございます!」
俺が時間を待っていると前から夜見が来て挨拶してきた。
「おはよう夜見。今日はお互い頑張ろうな!」
俺は挨拶を返して激励をした。
「はい!私じゃダメかもしれませんが精一杯頑張ります!」
これでも夜見は最近かなりポジティブになっていた。
「そんな事は無いと思うぞ?夜見の目と魔法は強力だからな」
「いえ、リンさんや真冬さんに比べるとまだまだ未熟者ですよ……」
ここでまた夜見のネガティブスキルが発動した。
「夜見……俺が言える事じゃないけど、人と自分を比べちゃ駄目だ。夜見には夜見の強さがあるんだから、自分に自信を持て」
「はい!吹雪さんにそう言われると何だか力が出る気がします」
「それでいい」
そんな会話をしてると会場……闘技場の真ん中に一人の男が立っていた。
「皆注目~」
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