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「この死に損ないが!俺の手で引導を渡してやる」
相手がそう言うと、さっきの短剣とは比べ物にならないほど大きな大剣を背中から抜き構えてきた。
「喰らえ『霧風』」
俺が『霧風』の名を呟くと、刀身がバラバラになり幾つもの破片が俺の周りを浮遊した。
「初めて見る能力だな。だが、刀が増えた所で関係ない!消えろ!」
相手が動いたのと同時に、俺も浮遊している破片を自身の手を空中で動かし相手に向けて飛ばした。
相手は力技でその破片を全て弾いて俺の目の前まで迫り、そのまま大剣を振り下ろした……否、振り下ろそうとした構えで止まっていた。
相手はそのまま崩れ落ち、大量の血を背中から流していた。
「貴様……何をした?」
相手は何が起こったのかすら気付いていない。
「戻れ『霧風』」
俺が『霧風』の名を再度呟くと、相手の背中の中から破片が無数に出て来て元の姿に戻った。
「『霧風』は自由に刀身の量を増やせる刀だ……それと同時に目標に向かって操作したら、目標に当たるまで動き続ける刀でもある。お前が弾いた所で、操作してお前の背中を襲わせただけだ……」
「そんな……幼いのに……なぜ、こんな事を……するんだ?」
「これが我が家の昔からのしきたりだから仕方ない」
「お前……可哀想……だ……な……」
「どういう意味だ?」
「……」
相手は俺の質問に答える間もなく絶命していた。
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