けじめ

21/21
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/297ページ
「突然、美穂が大人になってるぞ?」  と、ダイキが目を細めながら春馬を見つめる。  “__バーカ”  そう言って私を殴る春馬は、もうどこにもいない。  だけど私は、これからも春馬の分まで生きる。 「献杯するか」  ダイキが、ニリットルペットボトルを袋から二本とりだす。 「飲めよ」 「こんなに、飲めないから」 「なら、春馬にやれ」 「え!?」 「春馬の馬鹿野郎ー!」 「ええ!?」  献杯すると言いながら、ダイキがジュースを思いっきりぶちまける。 「ちょっと! 私にもかかったんだけど!」 「はは!」 「もー! やめてよー!」  もう一度ダイキがジュースをぶちまけると、淡い三色の虹が宙に浮かび上がる。 「……綺麗」 「春馬からのプレゼントだな」  と、微笑むとダイキと一緒にどこまでも真っ青な空を見上げる。  __春馬からも見えてるかな?  変わっていく私達を。  変わらぬままの私達を。
/297ページ

最初のコメントを投稿しよう!