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「いいの?」
「何が?」
ゆっくりと階段を降りて、ユカの隣に並ぶ。
「あんな子に、水野君をとられてもいいの?」
私と手を繋ぐのも恥ずかしがっていたジミノが、女の子と腕を組んでいた。
それも、茶髪の少し派手な女の子。
だけど良いか良くないかを決めるのは、ジミノだ。
「私は、もう彼女じゃないから」
「なら、何でそんな顔をするの?」
「え?」
ユカは、私の目をジッと見つめる。
「好きなんでしょ?」
「……それは、好きだよ? でも、もう私には好きでいる権利もない」
「……権利って」
と、少し呆れたように溜め息を吐き出すとユカはそっと口を開く。
「私は、二人の間に何があったかは知らない。でも、好きでいるのは美穂の自由じゃないの? それでその想いをどう受け止めるかは、水野君が決めること」
確かに普通の恋愛だったらそれでいいけれど、私達は違う。
「……私は、一人で立てるようになるまで恋愛はしないって決めたの」
ユカは春馬のことを知らないし、先生との関係のことも知らないからきっとわかるはずがない。
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