僕の秘密がバレた経緯

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僕の名前は三谷実。先日16歳になったばかりの高校1年生。学力そこそこ。運動はからっきし。これといった特技もなく、顔も冴えない地味高校生。クラスでは常に空気のような存在で、もう2月が終わろうとしているのにクラスでの交友関係はほとんどない。 これは、そんな僕が密かにしているある『趣味』がバレるまでの経緯を語る物語。ではまず、僕が秘密にしている『趣味』が何なのか、そこから語っていこう。 ネットで小説を書いていること。これが僕の趣味。 人によって意見は分かれると思うが、少なくとも僕にとってこの趣味は家族や知人に知られたくないもの。何故なら小説の内容が中二病全開のイタいもので、そして僕がそれを書いているという事実がイタいからだ。他の誰かに知られたら一生消えない傷になる。僕と同じ思春期真っ只中の少年少女は多分この気持ちがわかるだろう。 中学生の時の僕は常にファンタジーな妄想を頭の中で膨らませていた。当時流行っていた魔法や未知の化学兵器が出てくる漫画にどっぷりハマっていて、その影響をモロに受けていたからだ。そしてネットサーフィンをしていた時に偶然、小説の投稿サイトに出会い、それ以来執筆活動をずっと続けている。 こんなことを続けてなんになる。僕のことを知る誰かがこの趣味を知ったら絶対笑われる。バレる前にやめてしまえ。 そう何度も思ったがやめられなかった。興味本位で始めた趣味だったが毎日書き続けたことで習慣化され、気づけば生活の一部になっていた。 それに、バレるわけない、と確信していたからもある。もともと友達がいる方ではない僕は家に友人を上げることはほとんどなかった。誰かがその投稿サイトを見たとしても『ミノタロス』というペンネームで活動しているから、どこぞの少年探偵でない限り見破るのはまず無理だと思っていた。 なのに、どうしてバレたのか。きっかけは僕が学校の机の中に携帯電話を忘れ、それを取りに戻った時のだった。
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