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めとった妻は、この時代には珍しく、気さくで優しい心の持ち主。自宅で仕事をする私の傍らで、いつも微笑んでくれていた。そして子宝も授かり、私は幸せの絶頂を迎えていた。
だがそんな矢先、妻が病に倒れてしまった。私は、まだ幼い子供を抱え、入院している妻に連れ添う日々を送った。だが結局、妻は帰らぬ人となってしまい、私は途方に暮れていた。
そして気がつけば、私は一枚の広告を手にしていた。そう、アンドロイドの広告だ。
妻にそっくりなアンドロイドを作ってもらい、メモリーも妻の記憶を入力すれば、また妻は帰ってくる。そう考えた時には、すでに申し込みを済ませてしまっていた。いや、これでいいんだ。子供には母親が必要なのだから。
数日後、妻が届いた。どっからどう見ても完璧な妻だった。そして、スイッチを入れると、あの気さくな笑顔で「あなた」と言い、子供を抱いてくれた。また元の幸せな生活が戻り、これで一安心だ。
私は、もしもの事態に備え、私にそっくりなアンドロイドも購入し、私のメモリーを残した。これで、いつ私が病に倒れても大丈夫だ。
そして、愛する我が子の場合も、またしかりである。
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