アンドロイド

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《高性能アンドロイドをあなたの恋人に》  最近、このような広告がよく目に入るようになった。人とのふれあいが乏しい近年では、ごく当たり前の広告だ。  科学技術が発達し、外出しなくとも自宅で仕事ができ、買い物や食事も通信デリバリーで機械が配達。  このように、人と接触する機会がないので、恋人が欲しくてもできないのだ。人とのコミュニケーションは、ネットワークを通じての文字や画像や音声のみ。当然のことながら、人々は生身の人間とのふれあいに飢えていた。  それに目をつけた数々の企業は、最初技術を駆使し、限りなく人間に近いアンドロイドを作ることに成功した。見た目はほぼ人間と変わらず、メモリーを入力すれば、好みの異性の人格を持ち、喋りはもちろん、夜の営みまでをもこなすというすぐれものだ。 「僕にも恋人ができた」と、喜びの声が次々と寄せられ、アンドロイドは一人に一台の時代が到来してしまった。  しかし、アンドロイドと一生を添い遂げてしまう人々が増加の一途を辿る中、私はアンドロイドを断固として拒否し続けていた。なぜなら、アンドロイドとは結婚ができないからだ。  そう、いくら時代がそうであったとしても、人間とは結婚し、子供を育て、繁栄させなければならないのだ。そうしなければ、人類は滅亡してしまう。  実は、私のような考えを持つ者は珍しくはなく、生身の人間との結婚を考える健全な人のために「お見合い」というシステムも健在。私はそのシステムのもと、お見合いを繰り返し行い、やっとの思いで結婚をすることに成功したのだ。
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