○○ちゃん

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 それからのことは、よく覚えていない。  ただ、俺が今背負っているのは、豚肉の塊、およそ七十キログラムということだけは、紛れも無い事実である。  それにしても重い。なんて重さだ。こんな事なら妥協せずに、頑張って子猫ちゃんに声を掛ければ良かった。  俺は後悔の念に駆られながらも、一歩一歩、山の奥地へと足を進めた。  人が入り込まないであろう場所に着くと、俺は穴を掘り始めた。そして穴が、子豚一頭入るくらいの大きさに達したところで、俺は子豚ちゃんを埋葬した。  非常に疲れる作業だったが、もう荷物を背負わなくていい開放感と、確実に任務を遂行した達成感に満たされ、俺は鼻歌まじりに、軽快なステップで下山をした。  それから、数年の月日が流れた。  俺は罪に問われる事もなく、悠々自適な生活を送っている。そして今度、結婚をする事にもなった。もちろん相手は、小柄な子猫ちゃんである。やはり女は、持ち運びが便利なのに限る。  だが後に、この子猫ちゃんが、大柄なイボイノシシちゃんに豹変することを、俺はまだ知らない。
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