○○ちゃん

2/3
前へ
/3ページ
次へ
 鬱蒼とした山奥の夜道。俺は、そこを歩いている。しかも、くそ重たい荷物を背負って。  ことの発端は昨夜、女をナンパした事から始まる。  俺は、一人でクラブへと足を踏み入れた。目的はもちろんナンパである。幸いなことに、俺は顔がいい。イケメンだ。そして話術もある。全ての女とは言わないが、たいていの女は俺の誘いに乗って来た。  この日も俺は、迷い込んだ一匹の可愛い子猫ちゃんに狙いを定め、声を掛けることにした。  結果、見事に誘い出すことに成功。だが正直、顔は微妙だったし、ぽっちゃりさんだった。子猫ちゃんというよりも、子豚ちゃんといった方が良さそうだ。  だが、一夜限りのアバンチュールを楽しむだけなので、そこら辺は妥協せざるを得ない。  俺は、子豚ちゃんを自分の部屋に招き入れた。本当ならラブホに行きたいところなのだが、やりたい感が見え見えなのも如何なものかと考えたからだ。これは俺の美学とでも言っておこう。  そして、部屋でワインを酌み交わし、いい感じに盛り上がってきた。ここで押し倒したとしても、すごく自然な流れなので問題はない。そう思い、俺は子豚ちゃんを料理すべく、ソファーという名のまな板に押し倒した。  だが、子豚ちゃんは激しい抵抗をみせた。俺は、大人しくさせようとそのまま押さえ込んだが、子豚ちゃんの前足は、俺の大切な顔を引っ掻き、その爪痕からは血が滴り落ちてきた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加