鉄腕アトムのように

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「鉄腕アトムのように空を飛びたいです」  僕の体に異変が起こったのは、そう神様にお願いして三日後の事だった。  足の裏がむず痒かったので、見ると、穴がぽっかりと空いていた。これはきっと、神様が僕の願いを聞き入れてくれたに違いない。そう思い、僕は空に向かってジャンプした。  すると、その穴から激しい火柱が出て、僕の体はみるみると浮き上がっていった。そう、僕はアトムのジェット噴射を手に入れたのだ。  僕はどんどんと上昇を続け、下を見ると、人がアリンコのように見えた。そして僕は、アトムのように自由に空を飛んだ。航空力学を完全に無視した飛行に、初めは戸惑っていたが楽しかった。  だが、問題がひとつ。止まり方がわからないのだ。  まだ慣れてないので、ジェットの微調整が出来ず、空を旋回しながら着地するタイミングを計っていた。そして、僕はジェット噴射を止め、そのまま落下した。地上千メートルの高さから落下したのだ。  本当はスカイダイビングでも楽しみたいところなのだが、パラシュートがないのでそんな心境にもなれず、地上に落ちる寸前にジェット噴射をし、華麗に着地することだけに、全神経を集中させていた。  そして、今にも地上に激突するその瞬間、僕は地面へ向けてジェット噴射をした。  なんとか着地は出来た。しかし、僕の両足の骨はボロボロに骨折してしまった。考えてみれば無理もない。落下の時の速度×僕の体重が、一気に足にのしかかってきたのだ。命を取られなかっただけ、有り難いと思わねば。
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