浅木ひかり(1)

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綾津ちゃんの、バカ。 せんせーとの時間をジャマばっかりして。 一緒にお話しできる時間は、朝しかないのに。 そう、思うけど。 どこか安心しているあたしもどこかにいたりする。 せんせーに対する気持ちは、憧れじゃなくて。 きっと『恋愛』的な好きだから。 だけど、きっと、この感情は知られたらいけないんだと思う。 これが男のせんせーなら、言いやすいのかな。 軽い気持ちで、好きって言えるのかな。 やっぱりせんせーだから、ダメなのかな。 いろいろ考えるけど。 あたしには分からない。 だって、恋愛なんて初めてなんだもん。 もうすぐバレンタインだから。 せんせーにも何か渡したい。 あたし、これでもお菓子作りは得意なんだ。 だけど。 どうやって渡せばいいかな。 いつものお礼、とかでいいのかな。 どんなお菓子が好きなんだろう。 せんせーは大人だから。 やっぱり甘いよりはビターな方がいいのかな。 あたし、せんせーのこと、何も分かってないんだなあ。 そう思うと、少し打ちのめされるけど。 あたしが一方的に話しているだけなんだし、それも当たり前だよね。 だったら、バレンタインをきっかけにしたいな。 少しでも、せんせーのこと知ることができるように。 マイナスになりそうな気持ちを立て直して。 これから少しずつ、せんせーのことも知っていけるように。 あたしはバレンタインで勝負をかけようと意気込んでいた。 だけど、このとき、あたしは忘れていたんだ。 バレンタインには、別の…綾津ちゃん以外の、お邪魔虫がいるっていうことを。
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