■2-そして[知るということ]

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『SAYA』 有家川(うけがわ)とはカブらない。 サヤと…有家川……。 ウケガワマサヤ………??? マ『サヤ』!!!!! 頭が真っ白になって、俺はしばらくフリーズしていた。 そんなわけない、そんな偶然が……。 色々否定する根拠を見つけようとするがまとまらない。 ずっと声を聞いて、気になっていたんだ。 演じているので雰囲気は違うが、あの声は有家川だ。 初回参加作品でなく、もっとこなれて演技が上手くなっていたら、わからなかったかもしれない。 でも、特徴的なかすれや語尾の音色がまさに有家川だった。 間違いないと直感が告げる。 俺はもう『SAYA』は有家川だと確信していた。 あと必要なのは証拠だけだ。 学校で改めて有家川の声を聞いて、さらに確信を深める。 やっぱり。そうだ。 けど、どうしてあの有家川が? そういった世界とは全く縁が無さそうだ。 推察したところで理由なんかわかるわけない。 俺だって美奈姉さんに勧められなければ、こんな世界知らなかった。 有家川は、俺が同じゲームに参加してることなんか気付いてないだろう。 けど、俺は勝手に仲間意識みたいなものを彼に感じてしまっていた。
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