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俺に抱きつくサヤちゃんの柔らかな髪にサラリと胸をなでられゾクゾクとし、顔を寄せればサヤちゃんの長いまつ毛も俺の頬をくすぐってくる。
その細やかな感触にサヤちゃんの可愛らしさを感じ、愛おしくてたまらなくなった。
念願のサヤちゃんとのふれ合いは、そんな小さな発見や大きな感動が積み重なりすぎて、結果あまりよく覚えていない。
だからこそ、覚えていられた瞬間は、何度も何度も……繰り返し思い出す。
『ああっ……んーっんーっ!ま、真矢っ。なんで?んぁ……はぁんん!きもちいいっ』
色っぽ過ぎる声に、冷静を装って『そう。うれしいな』と、まるで俺がサヤちゃんを気持ち良くさせているかのように返事をしてしまった。
けど実際は俺がグッと押し込み過ぎると、サヤちゃんの腰がフッと引かれ、無意識のうちに気持ち良くなるよう調整してくれていただけだ。
サヤちゃんの長い指が自らの柔らかな内壁に覚えこませていった快楽だから、気持ちよくなるポイントもサヤちゃん自身がよくわかってる。
けど遠く離れ、通話しながら指をソコに含んでいた時でさえ、俺が快感を引き出していると勘違いしていたサヤちゃんだ。互いの熱を分け合っている状況ならなおさら、俺が狙って快感を与えていると思い込んでくれた。
恋愛初心者の俺には、とてもありがたい勘違い。
なんの計算もなくサヤちゃんの上気した肌に手を滑らせるだけで、綺麗な顔をヒクつかせ弾けるような嬌声を返してくれる。
そんなサヤちゃんが愛おしくて、このまま解け合ってしまえれば……と強く願った。
嬉しくて、幸せで、気持ち良くて……。
感情が暴れて苦しくて、泣き出しそうだった。
しかも、俺のことを大好きだって……。
いつかサヤちゃんに好きになってもらえたらというのが、俺の最大の目標だったのに、家に行っただけで、こんなにあっさりと。
『派手で賑やかで目立つ有家川』は、同じクラスだけどどこか遠い存在だった。
そして『SAYA』を意識しだした時ですら、こんなことになるなんて思いもしなかった。
授業中に目が合うたび『もしかしたら、俺の声を好きだと思ってくれてるんじゃないか』と想像し続けていた。
なんの取り柄もない俺の唯一の武器は声だから、サヤちゃんと通話してる時もかなり話し方は意識していたし、サヤちゃんが俺の声にうっとりしてるのを感ると、心の中で小さくガッツポーズしていた。
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