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「沢村(さわむら)くんはね、そうやって叱られるようなことばっかりやってるから、いつまで経っても芽が出ないのよ」
腕組みをしたタンニン=中沢洋子(なかざわようこ)の言葉におれはショックを受けていた。
「月曜日の朝になっても芽が出なかったら、佐山(さやま)くんのアサガオを一緒に観察なさい」
それだけはぜったいにいやだった。みじめな気分もかっこ悪いのもおれはきらいだ。もし本当にそうしなくちゃならないときがきたら、学校中のアサガオをほじくり返してふみつぶしてやる。たった今、そう心に決めた。
「今日はもういいから帰りなさい。プリントと宿題、忘れないように」
タンニンはそれだけいうと、つくえの上の答あん用紙=国語算数理科社会のそれをいじくりはじめた。
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