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「待て、俺は……」
「いいか、エドガー」
すかさず少年は口を開くがリーザが遮った。
「お前はな私に名前を奪われたんだよ」
「……何を言っているんだ。
俺の名前は……名前は」
そう口にしたところでエドガーは気付いた、かつての自分の名前を思い出せないことに。
その様子を見てリーザは言葉を続ける。
「お前の故郷は灰になった。
家、家族、友人、知人、見慣れた町並み、慣れ親しんだ花や風の薫り……もはや、その全てはこの世の何処にも存在しない。
そしてお前に残された唯一の故郷に住んでいたと言う証、名前を奪われた」
「……」
「そのエドガーという名前はお前の存在理由だ、
お前がエドガーである限り、お前の恨みは晴らされない」
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