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「英次せんぱーい!飯食いましょー!」
教室にいた全員の視線がドアのほうに向く。
茶色い猫っ毛の青年はいろんな意味で有名人だ。
共学のそこそこ名の知れた進学校に通う高校1年生だが、入学早々にゲイであることをカミングアウト。
以来嫌がらせやいじめも受けたが持ち前の明るさと、その人柄で今では人気者だ。
「幸村ぁ…まだ授業やってんだっての。見えるか?あ゛ぁ?!」
教師ににらまれようが動じない。それがこの火神という男なのだ。
「あ!ののセンセ、ちわーっす!」
「ののじゃねぇ、野々平先生って呼べって…まったく…」
丸めた教科書で頭をたたき、コントのような会話を続ける野々平と火神。
教室内はまたかという苦笑とクスクス笑う声、囃し立てて騒ぐものと賑やかだ。
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