HSB

4/7
前へ
/186ページ
次へ
「行ってやんねぇの?わんこガン見してるけど…」 前の席の男子に話しかけられ、美作は渋々立ち上がった。 ドアの前で忠犬よろしく嬉しそうに尻尾を振りながら『待て』をしている火神に美作は再度ため息をつく。 走って近寄り、叱られること数十回。さすがに学んだらしい。 いつの間にかその両手には腕いっぱいのお菓子があった。 「もらったのか…?」 「はい!やっぱり先輩のクラスの方々は優しいです。俺も来年こういう先輩になりたいです!」 気づくと火神はクラス公認のわんこになり、愛玩されていた。 美作は、姉の「HSW(ハイ・スペック・わんこ)!?よし、あんた受け!!」 という理不尽な言葉を思い起こしていた。 『ハイスペックというか、まわりを固められているというか…』 また一つため息をついた。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加