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「行ってやんねぇの?わんこガン見してるけど…」
前の席の男子に話しかけられ、美作は渋々立ち上がった。
ドアの前で忠犬よろしく嬉しそうに尻尾を振りながら『待て』をしている火神に美作は再度ため息をつく。
走って近寄り、叱られること数十回。さすがに学んだらしい。
いつの間にかその両手には腕いっぱいのお菓子があった。
「もらったのか…?」
「はい!やっぱり先輩のクラスの方々は優しいです。俺も来年こういう先輩になりたいです!」
気づくと火神はクラス公認のわんこになり、愛玩されていた。
美作は、姉の「HSW(ハイ・スペック・わんこ)!?よし、あんた受け!!」
という理不尽な言葉を思い起こしていた。
『ハイスペックというか、まわりを固められているというか…』
また一つため息をついた。
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