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目が覚めたら宝さまは、
私ではなく……桜瑛の元に行ってしまう。
宝さまをこの世界に必死に閉じ込めたいと望む私と、
宝さくを今すぐ解放してあげたい私。
どちらの私も鬩ぎあうその中で、
私の揺れ動く不安定な心のままにカムナは容赦なく力を与える。
カムナの力を受け取って、
宝さまを私だけのものにしたいと考えた……私。
病室の窓ガラスを吹き飛ばし、
カムナを介した私の呪に自らも含んで危害を加える。
全てが戯れと知りながら。
自らの内側にあるカムナの力で、
侵され続けた私は動けなくなってしまった。
……そう……。
愚かな私の独りよがりな思いが招いた結末。
私の中に眠るカムナを宝さまが……貫き……
カムナは私の中で再び力を取り戻すために眠りについた。
何時の世か私の抱く憎悪な嫉妬を餌にして、
もう一度力を取り戻すために。
全てを知っているあの人は私を咎めることもない。
咎められることもない我が身を、
悲観し……追い詰めた時間。
そんな自らの罪もカムナによって零れ落ちていく。
寂しさが招いた愚かな時間。
それすらもカムナは飲み込んでいく。
我、罪の代償か……消えていく。
我、愛しい記憶たち……、
宝さまとの思い出が消えていく。
真っ白い雪が降り積もる。
全てを覆い包んでいく。
まだ……果てれぬ……カムナの地。
……僻野ノ涯……。
この地で私が最後にあの方の為に
成すべきことがあると言うなら教えておくれ。
私自身の全てが融けてしまう前に。
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