246人が本棚に入れています
本棚に追加
今の地震で雪崩ではなく、土砂崩れを起こしていて、山の地肌が見えている。
そして今いる場所より少し上の斜面に、大きな空洞が空いていた。
周囲を確認しても旬の姿はない。
この土砂に埋まってしまったのかもしれないが、今の翔馬にはどうすることも出来なかった。
それにしても、あの空洞は洞窟だろうかと思いながら、翔馬は斜面を少し上り、空洞の入り口に立つ。
周囲に石を積み上げて作られているようだ。
つまりこれは自然の洞窟ではなく、人口の洞穴ということらしい。
そのとき真っ暗な洞穴の奥で何かの気配を感じた。
翔馬は緊張して、息を飲む。
「ツイニヒラカレタノジャ。ミナノモノマッテオレ」
誰かが何かを喋りながら、こっちに向かってくる。
「旬!」
中から姿を現したのは、旬だった。
旬はブツブツと何かを呟きながら、翔馬のすぐ傍まで歩いてくると、そこで崩れるように倒れる。
「お、おい!」
翔馬が慌てて抱え起こそうとした瞬間、大きな余震が襲ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!