修学旅行

10/40
前へ
/297ページ
次へ
今の地震で雪崩ではなく、土砂崩れを起こしていて、山の地肌が見えている。 そして今いる場所より少し上の斜面に、大きな空洞が空いていた。 周囲を確認しても旬の姿はない。 この土砂に埋まってしまったのかもしれないが、今の翔馬にはどうすることも出来なかった。 それにしても、あの空洞は洞窟だろうかと思いながら、翔馬は斜面を少し上り、空洞の入り口に立つ。 周囲に石を積み上げて作られているようだ。 つまりこれは自然の洞窟ではなく、人口の洞穴ということらしい。 そのとき真っ暗な洞穴の奥で何かの気配を感じた。 翔馬は緊張して、息を飲む。 「ツイニヒラカレタノジャ。ミナノモノマッテオレ」 誰かが何かを喋りながら、こっちに向かってくる。 「旬!」 中から姿を現したのは、旬だった。 旬はブツブツと何かを呟きながら、翔馬のすぐ傍まで歩いてくると、そこで崩れるように倒れる。 「お、おい!」 翔馬が慌てて抱え起こそうとした瞬間、大きな余震が襲ってきた。
/297ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加